中1国語で学習する”蓬莱の玉の枝”の原文、現代語訳、現代仮名遣い、重要語句をまとめました。
その②です。
原文
これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて、
山のめぐりをさしめぐらして、二、三日ばかり、見歩くに、
天人のよそほひしたる女、山の中よりいで来て、銀の金鋺を持ちて、
水をくみ歩く。これを見て、船より下りて、「この山の名を何とか申す。」
と問ふ。女、答へていはく、「これは、蓬莱の山なり。」と答ふ。
これを聞くに、うれしきことかぎりなし。
その山、見るに、さらに登るべきやうなし。その山のそばひらをめぐれば、
世の中になき花の木ども立てり。金・銀・瑠璃色の水、山より流れいでたり。
それには、色々の玉の橋渡せり。そのあたりに、照り輝く木ども立てり。
その中に、この取りてまうで来たりしは、いとわろかりしかども、
のたまひしに違はましかばと、この花を折りてまうで来たるなり。
現代語訳
これが私が探してた山だと(うれしいけれども)恐ろしくおもわれたので
山の範囲をこぎまわらせ、二、三日様子を歩いてみて回っていると
天人の服装をした女性が山の中から出てきて、銀のお椀をもって
水をくんでいた。これをみた私は、船から降りて『この山の名前は何?』
と尋ねたら、女性は『これは蓬莱の山です』と言いました。
これを聞いて私はうれしくてたまりませんでした。
その山は見てみると険しくて全く登りようがありません。その山の斜面の裾を
回ってみるとこの世には見られない花の木々が立っています。金や銀や瑠璃色
の水も山から流れてきます。その流れているところに様々な色の橋がかかって
います。そしてその付近に光り輝く木々がたっています。そこでここに取って
きたのは、たいそう見劣りはするものでしたが、姫がおっしゃったものと
ちがってはいけないと思いこの枝を折ってまいってきたのです。
重要語句
登るべきやうなし→登りようがない
そばひら→かたわら、そば、横の方
金鋺(かなまる)→金属製のお椀
瑠璃色(るりいろ)→瑠璃は宝石の一種。つやのある紫ががった紺色。