万葉集の歌をまとめてみました。
万葉集
奈良時代
現存する日本最古の歌集。素朴で雄大。生き生きと力強い
①春過ぎて 夏来るらし 白たへの 衣干したり 天の香具山
持統天皇
現代語訳 (春が過ぎて夏が来たらしい。真っ白な衣が干してあるよ。天の香具山に。)
白たへ→白い布 句切れ→二・四句切れ 文法→体言止め
ポイント
天の香具山に真っ白な衣が干してあるのを見て夏が来たのを感じた
②東の野に炎の立つ見えてかへり見すれば月傾きぬ
柿本人麻呂
現代語訳(東の空にあけぼのの光が差してくるのが見え、振り返って見ると、月が西の空に沈んでいこうとしている。)
炎→あけぼの(明け方の光) 句切れ→句切れなし
ポイント
明け方の歌。非常にスケールが大きく、広大な宇宙をよんだ雄大な歌
③君待つと吾が恋ひ居れば我が屋戸のすだれ動かし秋の風吹く
額田王
現代語訳(あなたを待って私が恋しく思っていると、我が家戸口のすだれを動かして秋の風が吹いていきます)
恋ひ居れば→恋しく思っていると 句切れ→句切れなし
ポイント
好きな相手のことを想う女性の繊細な心をよんだ歌
万葉集その①プリントはこの3首です。
④天地の 分れし時ゆ 神さびて 高く貴き 駿河なる 富士の高嶺を 天の原 振り放け見れば
渡る日の 影も隠らひ 照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり 時じくそ 雪は降りける
語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は
山部 赤人
現代語訳 (天と地の分かれたときから、神々しく高く貴い、駿河の国にある富士山の高嶺を、広々とした大空に振り仰いで遠くを見ると、空を渡る太陽も隠れて、夜の空に照る月の光も見えず。白雲も富士に行く手をはばまれて、いつでも雪が降っている。後世にも語り伝え、継いで行こう、この富士山のことを)
神さぶ→神々しい 振り放け見るれば→振り仰いで遠くをみると い行くはばかり→はばまれて行き滞り
時じくそ→時期を定めず、常に
文法 「そ〜ける」→係り結び 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は→倒置法
ポイント
富士山の偉大さ雄大さをよんだ歌
⑤田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りつつ
現代語訳) 田児の浦を通って出て見ると、おおなんとまっ白に富士の高嶺に雪が降っているよ。
田子の浦ゆ→田子の浦を通って 句切れ→句切れなし
ポイント 長歌に添えられた長歌の意味を要約したり補足したりする短歌である
万葉集②のプリントはこのこの長歌と反歌になります。
⑥憶良らは 今は罷らむ 子泣くらむ それその母も我を待つらむそ
山上憶良
現代語訳)私、憶良めはもう退出いたしましょう。(家で)子が泣いているでしょう。それにその母(私の妻)も私を待っていることでしょう。
罷らむ→おいとまする。退出する。 句切れ→二・三句切れ
ポイント→宴会から先に帰ってしまうと悪いので子どもを理由に使った温和なジョーク
⑦多摩川にさらす手作りさらさらに何そこの児のここだ愛しき
東歌
現代語訳)多摩川にさらしている手織りの布のように、さらにさらに、なんでこの子はこんなにも愛おしいのだろうか
愛しき→愛おしい 句切れ→句切れなし さらさらに→掛詞 多摩川にさらす手作り( さらさらにを導く)→序詞
ポイント 川で布をさらす女性への恋愛をよんだ歌
⑧父母が 頭かき撫で 幸くあれて 言ひし言葉ぜ 忘れかねつる
防人歌
現代語訳)父と母が、頭をなでて無事でいるようにと言ってくれた言葉が忘れられない。
防人歌→九州地方の守備にあたった兵士がよんだ歌 文法「ぜ〜つれ」→係り結び 句切れ→句切れなし
ポイント 故郷から離れて兵役をつとめ、家を出た時の父母の顔やしぐさが忘れられない
⑨新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事
大伴家持
現代語訳)新しい年の初め、正月の今日、降る雪のようにたくさん積もれ良い事よ
吉事→良い事 文法→体言止め 句切れ→句割れ(いやしけ。吉事)
良い年になりますようにと祈願している
万葉集プリント③は⑥~⑨の歌です。